岩木山に坂本龍馬は生まれるか?

暮れは、喪中ということもあってずっと自宅にいて読み残していた本を整理した。
その数冊の中で、寺島実郎氏の「世界を知る力」を紹介したい。

巻頭に

"激変したのは交通手段ばかりではない。現代は、ヒト・モノ・カネ・技術・情報が、ボーダーレスに、つまり「境界なし」で交流する時代である。ラジオからテレビ、そしてインターネットへと、さまざまなメディアが登場・普及し、情報環境が劇的に変化して、わたしたちが認識できる「世界」は限りなく広がったように見える。「わたしは、いながらにして世界のすべてを知ることができる」と強弁する人がいたとしても不思議ではないだろう。だが、わたしたちの「世界を知る力」は、単純に、交通手段や情報環境の発達と正比例して向上するものだろうか。残念ながら、答えは「否」である。"

寺島氏はテレビ出演していても、一貫して上記のことを訴えている。
日本人の「固定概念」の強さが、激動の世界で最も危険視されているのはなぜか。

かつての日本人は、海外の文化を知るために海を渡った。世界には、己が知る以外の考え方を持つ人たちがいることを認識し、海綿体のようにその国の文化や政治経済のあり方を吸収した。日本人のうまさは、帰国してから日本流にアレンジして自分たちのものとすることが非常にうまかったということか。

しかし、そういう先人達の努力が近代日本の基礎を作ったのだという、意識も今に至っては薄れてしまっているようだ。1968年、日本は世界第2位の経済大国になった。2年後に大阪万博が開かれ、日本全体が湧き上がった。筆者もその頃に社会人となったのだが、仕事探しに不自由することは無く、勤め先では毎年のように昇給もあった記憶がある。

日本の現状は悲惨そのものだ。失業者が続出しているだけでなく、精神的なダメージで自殺や、残虐な事件が後を立たない社会になっている。まもなく、日本は中国に抜かれてGDP(国内総生産)が世界3位となる。中国は、人口も10倍もいるわけだし、日本の工業技術水準をすでに上回っているジャンルが多数ある。

これに対して日本は、狭量な感覚で中国人に抜かれたという悔しさを持つだけで、今後は協力体制を組もうと前向きの姿勢は見られない。韓国に対しても同じだ。日本は、過去数度の「戦争」という大きな過ちを犯しているにもかかわらず、中国、韓国だけでなく、アジア全体に対して「上から目線」でいるのが現実だ。

今だ、何の成果も挙げていない民主党だが、首脳陣の発言にずれはあるものの各国へ出向いてコミュニケーションをとろうとする姿勢は好感を持てる。現代はすさまじい勢いでネットワークが発達し、居ながらにして世界の情報が入りはするが、はたして本当に我々は世界を理解できているのだろうか。他国との交流には足を使い、細やかな話し合いから生まれる信頼関係があってこそ、始めて国と国の付き合いができる。 このような行動が定着することで、自国のウイークポイントを自覚し、改革することによって新たな自信と希望が生まれるはずだ。

海外の人々と接触してよく感じることは、自国に対する意識がはっきりしていることだろう。愛国心を持っているということだけでなく、自国が将来どのような方向に向かうべきだという意見を持っている。もちろん、仕事上での出会いである以上、彼らはしっかりした教育を受けているからこそ意見が言えるのかもしれないが、特に留学生の知識レベルの水準の高さには驚かされる。 愛国心、郷土愛が、国や地方の政治経済に関心を持つことになる。

今のままでは、日本は駄目になる。だからこんな風にしなければ、あんな風にしなければと考えることになる。
世界の問題点は、自分が住む地域の問題でもあるということが理解できたら、岩木山にも坂本竜馬のような青年が生まれるかもしれない。

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