岩木山で蝉の声を聴いたか?

お盆前、あるイベント会場で津軽一円から集まったいろいろな団体の人々とお茶を飲みながらの雑談をしていた。この日はこの夏めずらしくカンカン照りの日で、人でも予想を超えて多かった。

誰となく「珍しいね、こんなにからっと晴れるなんて」と、天候の話が始まった。話の前に「今年の〜は、駄目だね・・・」と言う出だしで始まり、「そ れって、〜じゃないのかな・・・」で終わる形式。雪解けのスピード、花の咲き方、雨の降る量、岩木山がくっきり見える日の少なさ、遭難者の人数、自殺者、 農作物の状態などなど、どんどん話は続いた。

その中で、セミの声を何時聴いたかという話題になった。8月上旬までに聴いたという人が大鰐、黒石、弘前市内で、岩木山周辺の山麓はもちろん五所川 原や西目屋などは中旬になってやっと聴いたという。もちろん、ミ〜ンミ〜ンとうるさいくらいの鳴きかた、ピーク時を対象にした話だ。(ちなみに「うるさ い」は=煩い=五月蝿いと書く)

ところで、セミは短命といわれるが、幼虫として地下生活する期間は3〜17年(アブラゼミは6年)で、成虫期間が1・2週間から長い種で1ヶ月といわれ、短命どころか昆虫類では寿命が長い方だ。

さて、セミの鳴き声は、オスがメスに求愛しているのだが外敵に捕獲された時にも鳴く。むんむん熱い真夏のイメージがあるセミだが、クマゼミは午前中、ヒグラシは朝夕、アブラゼミやツクツクボウシは午後と涼しい時に鳴くことが多い。

種毎に独特の泣き声を発し、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、日本では古来より感動と無常観を呼び起こさせ「もののあはれ」の象徴だった。抜 け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現身(うつしみ)と連しての考えである。芭蕉の"閑さや 岩に染み入る蝉の声"は余りにも有名ではあるが、日本人特有のきめの細やかな季節感、情感が溢れている。

話を戻すと、セミは地中から這い出し、成虫となる過程には決まった条件があることは間違いないだろう。亜寒帯の森林に分布するものもいるというが、 多くは熱帯や亜熱帯の森林地帯に分布の中心を持つ昆虫だ。となると、今年、なかなか出てこなかったのは天候が不順で夏日(高温・多湿)が少なかったからで はないか。専門的にどうかは分からないが、今年のセミの出現の遅れは地球自体の異常気象に影響しているとしか考えられない。

この異常気象は、農作物にも多きく影響をおよぼしている実態がある。嶽キミは『実入り』が悪く上物の収穫が今年は少ない。日照時間が少なすぎるから だという。りんごはどうなるか、米は大丈夫だろうか、心配だ。人間ですら、寒い時に寒く、熱い時に熱くないと体のリズム、サイクルが狂ってしまう。

30年位前に「ソイレイトグリーン」というタイトルの映画があった。この映画の背景は核戦争で大気異常を起こし、食物が育たなくなり最終的には人間をも食料の対象とするストーリーだ。(気持ち悪い映画だった)日照時間が短いと、部屋の中はじめじめし洋服や畳など、じかに肌に触れるもの全てが気持ち悪い。豪雨が続き、土砂崩れがおきて死傷者が出る。「こんなことは、今までになかった」と人々は口々に言うが、原因は以外に身近あり、我々が無関係ではない事は事実だ。

春夏秋冬のはっきりした日本。夏には熱い日差しがあり、セミが鳴く。そして、涼しくなり、秋の虫が鳴く。当たり前の事だが、自然のサイクルが狂わずに来て欲しいものだ。

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